水中でもスピード感が重要な過酷な競技
水球とは、水深2m以上のプール内につくられた縦30m×横20mのコートで、ボールをゴールに投げ入れ得点を競う水中の球技です。
ハンドボールのようにボールをゴールに投げ入れますが、水中という動きを制限される環境の中でも素早く動く必要がある過酷な競技です。
1チームは7人で構成され、1ピリオド8分間を4ピリオド行い、得点を競います。
試合中は足を底につけることはなく、泳ぐ体力とボールを投げ入れる体力、確実に点を稼ぐ技術が必要になってくるため、選手達の身体能力は地上と引けを取りません。
激しい肉体のぶつかり合いはまさに格闘技
水球の始まりは1860年代のイギリスで、「ボールを決められた水上のポイントまで運び合うゲーム」として始まり、危険なプレーをする人が現れたためにルールが制定され、今の水球という競技として確立されました。
現在の水球の試合でも審判から見えにくい水中では、相手をつかむ、蹴り上げるといったプレーが度々あり、ボールを持っている選手であれば、激しいコンタクトも許されているルールのため、水中の格闘技と呼ばれています。
その激しいコンタクトをくぐり抜け決めるシュートは、男子では時速70km程度、女子は時速50km程度と、水中とは思えない速さのシュートを放ちます。
水球はファウルが多い競技で、パーソナルファウルをした選手は自軍ゴール横にある「退水ゾーン」で20秒間の待機が命じられ、ディフィンスに参加することができずに失点につながることが多いです。
しかし、ファウルを恐れずに相手に挑む攻撃的な姿勢が水球では大事な戦い方です。
強豪国の共通点は体格
男女とも強豪国に共通しているのは、大きな体格、長い手足を利用したゲームメイクです。
ゴールを奪う王道パターンとして、センターポジションの選手にボールを集めてパスを回し、相手のディフェンスをかいくぐりシュートを決めます。
体格を十二分に利用したパワープレイを行える選手が集められた国が、今の水球界のトップに君臨しています。
プロリーグを持つハンガリーやセルビア、イタリアが代表的な強豪国です。
水球をさらに世界的に発展させていくために、パワープレーからスピードプレーに変化するルール変更が考えられており、相手にパスをさせない守備で、ボールを奪ってカウンター攻撃をしかける 「パスラインディフェンス」を考案するなど、強豪国が入れ替わるかもしれない可能性を秘めています。
独自の戦略で強豪に挑む日本
カウンター攻撃をしかけるパスラインディフェンスを実践するのが日本の戦力で、パワープレーに負けない試合運びを日々研究しています。
水球のオリンピックとしての歴史はまだ浅いですが、男女ともに海外でプレーする選手も増え、水球という競技を盛り上げて強豪国に勝利する目標を掲げた選手達が練習に励んでいます。